アウチっていう区役所職員のおばさんがかわいい。
無職になると、自己肯定感が著しく低下します。
自分なんてダメだ……。
自分なんて存在理由がない……。
自分なんて社会にとって不必要……。
といった、ネガティブスパイラルに陥るのは避けられません。
しかし、不幸中の幸いというか
良い面もあるのです。
それは、異性に対するストライクゾーンが広がること。
まあ、妻子持ちのアラサー男が何言ってんの
て感じですが、これは事実。
自分がイケてると思っている時は
イケてる異性を中心にモテたいと思いますが、
自分がイケてないと思っている時は、
イケてない異性を中心にモテたいと思うようになるのです。
というか、イケてる異性にはモテないので
必然的にイケてない異性にしか相手にされないよね……
なんて負け犬思想の塊です。
そんな背景がありながら、役所に手続きに行った時のこと。
手続きしてくれたのは、おそらく50すぎ60前後のおばさんです。
無職になる前は、こういっちゃ失礼ですが、ときめかなかったでしょう。
誰に似ているかと聞かれても、すみません。
僕の中のおばさんストックが全然ないので
なんと表現していいかわかりません。
非常に抽象的で申し訳ないですけど、
小学校の時のやさしいおばさん先生みたいな。
で、書類の説明をしてくれる時に
少しフレンドリーになったのか
「この書類はいついつまでに提出しないとアウチだから」
と言いました。
アウチ……
あ、あ、アウチ……?
柔らかく、くすぐったく、どこか懐かしく
昭和感の漂うワードですよね。
今の自分もやさしく包み込んでくれるように、
妙な安心感を覚えました。
アウチ。
まあ、そんな一つのワードが
無職の不毛な日々に萌えにも似た感情を引き起こし、
不覚にもキュンとしてしまったわけです。
ありがとう、アウチ。
ありがとう、おばさん。